都留IT講師チャレンジコース

講師に一番大切な「相手の学びに貢献する姿勢」とは?【IT講師チャレンジコース2019 DAY1レポート】

IT講師チャレンジコース、DAY1が開催!

こんにちは!都留IT講師チャレンジコースを運営するC-table(株)の田邉です。今回は11月23日に行われました、第1回ワークショップについてレポートいたします。

※「都留IT講師チャレンジコースって何?」という方はこちらをご覧ください。


DAY1、ワークショップ会場は都留文科大学

今回のワークショップは山梨県都留市の公立大学「都留文科大学」にて実施しました。都留文科大学は1953年に教員育成を目的とする学校として創立されましたが、現在は6つの学部を要し、多様な人材を育成する大学となっています。

全国から生徒が集まっており、今では人口3万人のまち都留市の約1割(3,000人)が大学生というほど、大きな大学になっています。

また「都留文科大学地域交流研究センター」では「地域の大学」としての蓄積をもとに、本格的に地域と向き合い、地域との共同的な研究・教育や連携・協力した活動を進めています。


IT講師として活躍するために必要な要素

IT講師として活躍するための要素は大きく下記の様に分けることができます。

①プログラミングスキル 

②プレゼンテーションスキル 

③ティーチングスキル 

本講座は主に、②プレゼンテーションスキル、③ティーチングスキルを身につけていただく為のワークショップを中心としたカリキュラムとなっています。「ワークショップDAY1」は、この点を強化するための1日となりました。


まずはプレゼンテーションスキルのチェックからスタート

DAY1、まずはプレゼンテーションスキルのチェックからです。受講生は、事前に出されたスライドについて10分のプレゼンテーションを行います。プレゼンテーションが終わった後、全員でそれぞれにフィードバックを行います。

多くの方にとって、「1対1」で何かを教えることはあっても「1対多数」で前に立って講義することはあまり経験がありませんよね。受講生の皆さんもほとんどが未経験のことです。立ち方、目線、声の出し方など様々なフィードバックがありましたが、その中でも重要なポイントを1つ、ご紹介します。


「ポリモーフィズム」を分かりやすく説明するには?

プレゼンテーションで大切なポイントの1つ。それは「伝える相手の状況や理解度を事前に把握すること」です。そしてその人たちにとって分かりやすい言葉遣い、比喩を使って学びを促すことです。

例えば、オブジェクト指向プログラミングの概念である「ポリモーフィズム」をプログラミング初心者に分かりやすく説明するには、どうしたらよいでしょうか?

「ポリモーフィズム」について、Wikipediaにはこうあります。

ポリモーフィズム(英: Polymorphism)とは、プログラミング言語の型システムの性質を表すもので、プログラミング言語の各要素(定数、変数、式、オブジェクト、関数、メソッドなど)についてそれらが複数の型に属することを許すという性質を指す。ポリモルフィズム、多態性、多相性、多様性とも呼ばれる。対義語はモノモーフィズム (Monomorphism)、単態性、単相性で、プログラミング言語の各要素が唯一つの型に属するという性質を指す。

…うーん。初心者にはちょっと分かりにくいですよね。英語初心者が分からない単語を英英辞典で調べているような、、そんな印象です。

ここで1つのやり方として「身近な比喩を使う」ということが紹介されました。

鳴く動物を挙げてみましょう。犬、猫、サルもいますね。みんな鳴きますが鳴き声はそれぞれ違いますよね。犬なら「ワン」、猫なら「にゃー」、猿なら「ウキキー」などですね。

それぞれを鳴かせたい場合、動物ごとに別々に指示を出すとなると、イヌには「吠えろ」。ネコには「鳴け」。サルには「叫べ」。指示を出す側も大変で、指示を受ける側もまた大変です。そこで「鳴いてください」という共通の指示を定義します。イヌに「鳴いてください」。ネコにも「鳴いてください」。サルにも「鳴いてください」。と同じ命令でそれぞれ異なる鳴き声が返ってきます。この「鳴いてください」という共通の指示を定義して主体により異なるアクションが実行されること、それを「ポリモーフィズム」といいます。

…なるほど!確かに身近な例で例えると、このような複雑な概念も初心者が理解しやくなりますね。


レビューしあって学びあう「Java構築ラリー」

プレゼンテーションレビューのあとは、実際にプログラムを書いてレビューをし合う「Java構築ラリー」です。

Java構築ラリーでは、5-6人(今回は3人)のグループを作り課題として決められた要件に対するプログラムを書き、下記の順番でレビューをしていきます。

①自分でレビュー(自分の理解の範囲で実装できているか?)

②グループ内でレビュー(グループの理解の範囲で実装できているか?)

③講師レビュー(講師からみてシッカリ理解して実装できているか?)

今回のポイントは「実装すること」よりも「質問・レビューすること」です。ここに「ティーチングスキル」のポイントがあります。それは「相手がどこで躓いているのか?」を把握し、気づかせるための質問術です。


相手がつまづいているところに気づかせる質問術

相手が質問に答えられない時、講師側が答えを解説してしまうことがよくあります。しかしそれでは相手が「自ら気づき学ぶ」という機会を失ってしまいます。相手が理解しきれていない時、講師としての重要な仕事は「相手はどこで躓いているのか?」を見つけて「次の学び」への気づきを提供することです。

例えば、

「こういうケースが発生した場合、プログラムはどういう動きになりますか?」

これに対して相手が詰まって答えられない場合、解説するのではなく、プロセスを順番に質問し「どこまでわかっているか?」を追っていく、という手法が紹介されました。

「まず、この処理はプログラム上のどこに書かれていますか?」

「そうですね。じゃあ次のこの処理はどこに書かれていますか?」

このように順番に追っていくことで、自分の理解がどこで躓いているか、質問された相手自身が分かるのです。この「気づき」に大きな価値があります。


講師に一番大切なこと、それは「相手の学びに貢献する姿勢」

8時間かけて実施したワークショップですが、プレゼンテーションスキル、ティーチングスキルを両面から学ぶ貴重な機会となりました。2つのスキルにおいて重要なこと。それは「相手の学びに貢献する」という姿勢です。

プレゼンテーションにおいても、まず講義する相手の状況や理解度を事前に把握すること。そしてその人たちにとって分かりやすい言葉遣い、比喩を使って学びを促すことが重要です。また、1対1の時も、解説するのではなく、「相手に学びの気づきを与える」という姿勢で臨むことが、講師として何よりも重要とのことです。

「相手の学びに貢献する」

それは講師だけでなく、多くの社会人にとっても大切な姿勢ではないかと思います。私自身も非常に勉強になりました。

次回は12月16日、DAY2のワークショップを開催予定です!

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